出典:https://nyankichi114.com/anime-comic-game/kaonawantshisen-reason/

スタジオジブリ作品「千と千尋の神隠し」で重要ではあるものの正体不明の「カオナシ」。

最初に見た時にはその行動の意味や正体もよく分からず怖いという印象でした。

物語終盤になっても正体は明らかにならないまま…

とは言え、どこか可愛らしさも感じるようになり、不思議で面白い立ち位置だなと思いました。

正体不明のカオナシが「千と千尋の神隠し」に登場するのにはどんな意味が込められていたのでしょうか?

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カオナシとの出会いは「あの橋」!千尋の正体に気づいていた!?

出典:https://blog.goo.ne.jp/eminus/e/9a3ad78d6e8701af751257c2738e2ef0

「千と千尋の神隠し」の物語後半で中心となって描かれているカオナシですが、初登場はいつだったのでしょうか?

それは「千と千尋の神隠し」の序盤、千尋がハクと一緒に湯婆婆の元に向かっている時でした。

お湯屋に繋がる橋まで来た時、千尋の正体が人間だと気づかれないためには橋を渡り切るまでは息を止める必要がありました。

この橋の上に、実はカオナシが立っていたのです。

息を止めている間は誰も千尋の存在や正体に気づいていませんでしたが、ただ1人、カオナシだけは千尋の正体に気がついていたようで、千尋のことをずっと見つめている様子でした。

この時点ではカオナシの正体や意味は全くわかりません。

しかし、「千と千尋の神隠し」では皆色鮮やかな色彩で描かれていたこともあって、黒い体に白いお面の出立をしているカオナシ。

物語序盤で出てきた瞬間に、このキャラは何か意味があるのではないかと思えるほど「千と千尋の神隠し」の中でも妙に目立っていました。

そしてある雨の夜、千尋が水を捨てに雨戸を開けると、雨に打たれたカオナシが佇んでいました。

「千と千尋の神隠し」の中では、お湯屋は様々な神様たちが疲れを取りに来る場所。

千尋はカオナシのこともお客様だと思い、「濡れてしまうので雨戸を開けておきますね」と言って正体不明のカオナシをお湯屋の中に招き入れてしまいました。

カオナシの「正体」や千尋を求めた理由

初めこそ「あ・・え・・」と意味のないような声しか発せなかったカオナシでしたが、次第にカエルの言葉を話せるように。

そしてカオナシは砂金をばら撒くのです。

従業員たちも他の神様たちのお世話を放棄し、カオナシに尽くすことで砂金を貰おうと必死に接待し始めてしまいます。

以上の行動の意味を踏まえると、カオナシは「欲望」であると考えられます。

「欲望」という抽象的なものだからこそ、正体不明の存在だったのですね。

「千と千尋の神隠し」の世界で貴重とされる砂金を与えることによって、その見返りに従業員たちを次々に飲み込み、話す能力を得たり、感情を表すことができるようになるのです。

しかし、カオナシが本当に手に入れたかったのは他の誰でもなく千尋でした。

「千と千尋の神隠し」が劇場公開された際の作品紹介によると、

湯屋のある世界とは別の場所からやってきた謎の男。己という物を持たない悲しい存在

と書かれていました。

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つまり、「千と千尋の神隠し」の世界ではカオナシも異色で正体不明。

誰にも存在を気づかれることがなく、存在すべき場所を見つけられていなかったのでしょう。

そこへ自分と同じように異色とされる人間がやってきたことによって千尋に興味を持ったのだと思います。

千尋は苦労しながらも段々この世界で存在を確立していき、その上、唯一カオナシの存在に気付いて配慮してくれた人物です。

千尋のように自分自身の意味や居場所を作りたいと思い、彼女に憧れを持ったのではないでしょうか。

ただしカオナシの正体がである一方、千尋は何も望みませんでした。

砂金を見せても他の従業員たちのように自分の言うことを聞かない千尋を前にしたカオナシは意味がわからないといった様子で、更に千尋が神様にもらった苦団子を食べたことで暴走し始めます。

「千と千尋の神隠し」でカオナシが存在する意味とは

出典:https://ghibli-animetoshidensetu.net/《千と千尋の神隠し》宮崎監督が暴露!カオナシ.html

千尋が川の神様からもらった苦団子をカオナシに食べさせたことによって、それまで飲み込んだ食べ物や人物を全て吐き戻しました。

それはまるで浄化を意味するかのような姿でした。

その後、千尋と一緒に湯婆婆の妹、銭婆のところに行ったカオナシ。

そこである出会いがありました。

銭婆が「カオナシ」と名前を呼んで仕事の手伝いをさせ、ここに居ろと言ってくれたのです。

それはまるでカオナシの存在に意味を与えてくれたようでした。

「千と千尋の神隠し」の作中ずっと無表情に見えたお面ですが、銭婆の言葉で少しだけ柔らかくなった印象を持ちました。

銭婆と同じように、実は湯婆婆もカオナシの存在に気がついていたようです。

しかし湯婆婆は「とんでもない客」と呼んでいたこともあり、敢えて気がつかないふりをしていたのかもしれませんね。

カオナシの正体についてはもう1つ説があります。

コミュニケーションが苦手でお金で物を解決しようとし、思い通りにならなければ暴れる。

これらの行動から、正体は現代の若者を意味しているのではないかという説です。

確かに、カオナシの行動の意味を考えてみると誰にでも当てはまる部分があるのかもしれません。

私たちも誰かに存在を認めてもらえた時は嬉しいですし、仕事をもらったり居場所があって存在に意味があることを確認することで安心を得ています。

その行動の意味を考えると、カオナシの正体は「人間そのもの」と言うこともできそうです。

「千と千尋の神隠し」におけるカオナシの存在の意味。

それは、人間誰しも「欲」に塗れてしまうと見境をなくしてしまう可能性を持っており、それを避けるためにも銭婆のような拠り所があると良いといったメッセージの意味を持っているのかもしれませんね。

まとめ

©︎2001 Studio Ghibli・NDDTM

今回は「千と千尋の神隠し」の重要キャラクターであるカオナシについて、その不気味な正体と存在の意味について考察してきました。

元々「千と千尋の神隠し」の制作当初はここまで意味を持たせた位置づけになる予定ではなかったそう。

しかし、物語が進むにつれて「千と千尋の神隠し」の重要なキャラクターとして構成されていったとのこと。

その正体は人間そのもので、存在の意味を考えながら「千と千尋の神隠し」を見ると印象がまた変わってくるかもしれませんね。

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