スタジオジブリ作品「コクリコ坂から」。
この物語の鍵を握るのは、主人公の海が毎朝掲げる「旗」ですが・・
この旗にはどんな意味があるのでしょうか?
ちなみに「コクリコ坂から」を製作中だったスタジオジブリの建物内にも同じ旗がありました。
そして「コクリコ坂から」のポスターも、旗を用意するシーンでしたね。
ますますその意味が気になります・・!
と言うわけで、今回は「コクリコ坂から」に出てくる旗の意味についてご紹介します。
海が毎朝、コクリコ坂から旗を掲げる「理由」とは?
海は高校2年生の女の子。
彼女には、毎朝のルーティーンがありました。
それは一番早く起き、布団を片付け、着替えを済ませて髪の毛は三つ編みにすること。
1階に降りると、棚に飾ってあるお父さんの写真の前にお水とお花をあげます。
そして水に浸しておいたお米が入ったお釜にマッチで火をつける。
その間に庭に出て、旗を掲げ、急いで朝食作りに戻ります。
これが、彼女のルーティーン。
海の家は下宿を営んでいました。
母親も仕事で家を空けることが多く、家事はほとんど彼女の担当です。
ここで気になるのは、やはり途中で用意した旗。
これは一体何を意味しているのでしょう?
その旗は国際信号旗というもので、航行中の船が通信の目的で使用します。
アルファベットや数字が当てはめられ、組み合わせることで様々な意味を成すのです。
海が使っていたのは2種類。
上にある、赤と白が交互に描かれたものは「危険に向かっている」という意味。
アルファベットでUが当てはめられています。
一方、下にある青で囲まれたものは「医療援助して欲しい」を意味するアルファベットのW。
この2つの旗、U・Wを組み合わせると「安全な航行を祈る」という意味になるのです。
つまり船に向かって安全を祈る意味のメッセージを送っていたのですね。
そしてそれは父親に向けたものでした。
彼女の父親は船乗りで、信号旗の意味も父親に教えてもらいました。
父親が出港する朝には必ずU・W旗を掲げて見送っていたのです。
しかし10年前、出港した父親はそれきり帰ってきませんでした。
彼女は毎朝、父親の写真にお水とお花をあげていましたね。
おそらくですが、大好きだった父親の逝去を頭ではわかりつつも、心が追いついていないのかもしれません。
それでもいつか父親に届くと信じて、海は10年経った今も毎日メッセージを送り続けているのです。
この旗こそ「コクリコ坂から」で海の運命を変えていく鍵になるのです。
旗の意味に気付き、返事をしていた人物とは?
いつものように海が教室に入ると、友人が学校新聞を持ってきました。
そこには「少女よ 君は旗をあげる なぜ」という一節で始まる詩が書かれていたのです。
海は自分のことだと感じたものの、一体誰がこれを書いたのかさっぱり検討がつきませんでした。
ある朝、いつも通り朝食を用意した海。
ところが下宿人の1人であり、画家を目指す広小路さんが起きてきません。
彼女を起こしに2階の部屋に入ると、ある1枚の絵が目に入りました。
そこには広小路さんの部屋から見える景色が描かれていて、一隻の船が。
その船には信号旗が掲げられていました。
海が掲げているものと同様、U・Wの旗と、その上にもう1つ。
それは回答旗と呼ばれ、「返事」を意味します。
つまり海の旗に対して返事をくれていたのです。
「安全な航行を祈る」に対する返事なので、おそらく「ありがとう」を意味するのでしょう。
実はこの船、広小路さんの部屋でしか確認できませんでした。
返事を意味する信号が揚げられていたことを海はその時、初めて知ったのです。
では一体、誰が返事をしていたのでしょう?
それは「コクリコ坂から」のもう1人の主人公、風間俊という青年。
彼も海と同じ高校に通う生徒で、新聞部の部長を務めていました。
俊は毎朝船に乗って高校の近くまで行き、その後は自転車で通学しているのです。
その船に乗っている時に見えたのが、海が掲げていた旗。
普通「安全な航行を祈る」という意味の旗は船出に合わせて送るメッセージなので、毎日揚がるのは少し変ですよね。
俊も何かを感じ取ったのかもしれません。
毎朝掲がるメッセージに寄り添おうと「ありがとう」の意味になる旗を掲げたのでしょう。
そして前述したとおり、彼は新聞部の部長。
・・・そうです。
新聞に書かれていたあの詩も、実は俊が書いたものだったのです。
少女が掲げていることを知った上で書いてある詩でしたので、海の存在には気づいていたようですね。
「コクリコ坂から」ではこの旗をきっかけに2人の恋が始まります。
「コクリコ坂から」のモデルになった様々な場所
「コクリコ坂から」のモデルとなった場所は横浜。
「コクリコ坂から」では1960年代の山下公園や桜木町駅も描かれていました。
当時を知る方にとってはとても懐かしい映像だったのではないでしょうか。
その横浜市では「コクリコ坂から」を地域一丸で盛り上げるべく、映画に登場した舞台が港の見える丘公園にも特別に設置されました。
ちなみにこれ、スタジオジブリ初の快挙だそうです。
(ジブリブランドが凄すぎて、何だか意外にも感じてしまいますが・・)
また公園内には、海が掲げていたU・W旗も!
横浜の海を背景に旗が映えていますね!
「コクリコ坂から」を思い出しながら横浜の街を散策するのも楽しそうですね♪
コクリコ坂は映画では結構急な坂道で、そのまま海へ繋がっていました。
実際にコクリコ坂という場所は存在しないものの、イメージに合う坂はあるとか・・
コクリコ坂から海へ繋がる。
コクリコ坂からメッセージを送る。
コクリコ坂から始まる恋。
このタイトルには、様々な意味が込められていそうですね。
まとめ
この記事では「コクリコ坂から」で海が掲げていた旗の意味についてご紹介しました。
自分ができるたった1つの習慣をずっと続けている海は、本当に健気ですね。
とは言え、旗をきっかけに始まった2人の恋には大きな壁が立ちはだかります・・・
それが何かは「コクリコ坂から」を見てのお楽しみということで。